先日、私が採用に関わった53歳の男性にお話を伺う機会がありました。
長年、営業事務としてキャリアを積んできた方でしたが、会社の経営悪化により早期退職を勧められ、まったく新しい業界へ挑戦し、見事に再就職を成功させたのです。
「この年齢で、本当に採用されるのか」
彼が最初に抱えていたのは、やはり大きな不安でした。
営業事務として30年以上働き、パソコン操作や数字の管理には自信がある。
だから当初は「事務職ならすぐに決まるだろう」と考えていました。
ところが現実は、想像以上に厳しいものだったのです。
書類が通らない日々
応募を重ねても、なかなか書類が通らない。
「30年の経験があるから即戦力だ」と本人は考えていたものの、結果は不採用通知の連続でした。
実際、企業が50代に求めるのは マネジメント層や管理職レベル。
課長や部長として部門を率いた経験がないと、採用のテーブルにすら乗りにくいのです。
一方で、一般事務や庶務のポジションは若手との競争。
「同じ条件なら若い人を選ぶ」という企業の判断に押し負け、事務職への道は予想以上に険しかったと彼は語ってくれました。
視野を広げたきっかけ
そんな状況のなか、彼が目を留めたのが「シニア歓迎」「未経験OK」と書かれた警備業界の求人。
「正直、最初は自分には向いていないと思った」と笑いながら話してくれました。
デスクワーク中心だった自分が、屋外で体を動かす仕事をできるのか。心理的なハードルは大きかったそうです。
しかし、業界を調べるうちに考えが変わります。
- 50代・60代の採用実績が多い
- 未経験者向け研修制度が整っている
- 「体力」だけでなく「責任感」「誠実さ」が評価される
「もしかしたら、自分の強みを活かせるかもしれない」
そう思えた瞬間、挑戦への扉が開いたのです。
面接で伝えたこと
面接で彼は、自分の言葉でこう伝えました。
- 「事務職で培った管理力と責任感を活かしたい」
- 「毎日のウォーキングで体力には自信がある」
- 「若い世代と協力して働くのを楽しみにしている」
この前向きな姿勢が評価され、まずは契約社員として採用。
半年後には正社員登用も果たしました。
採用担当者目線での気づき
私は長年採用を担当してきましたが、50代の未経験職種採用において最も重視するのは「今までのスキル」ではありません。
むしろ、
- なぜこの仕事を選んだのかという明確な志望理由
- そのためにどんな準備をしてきたのか
- 誠実さや責任感といった人柄
この3つが揃っているかどうかを見ています。
今回彼が採用に至ったのは、
- 書類で具体的な行動や成果を盛り込み、責任感を伝えていたこと
- 面接で健康管理や意欲について具体的に語り、この仕事に向けた準備姿勢を示していたこと
これらによって「長く安心して働いてくれる人材だ」と感じられたからなのではないでしょうか。
まとめ|50代転職へのヒント
- これまでの経験だけに頼るのではなく、なぜその仕事を希望するのかを明確にする
- 未経験職種に挑戦する場合は、必要な知識や体力づくりなどの準備を行い、それを具体的に伝える
- 採用担当者が最終的に評価するのは、誠実さ・責任感・長く働く意欲
50代転職では「即戦力のスキル」以上に、前向きに挑戦する姿勢と人柄が鍵になります。
自分にできる準備を一つひとつ積み重ね、それをしっかり伝えることで、新しいキャリアの扉は必ず開けるのです。
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