「50代から新しい仕事に挑戦できるのか」
「資格を取っても、本当に内定をもらえるのか」
そんな不安を抱えている方に向けて、私自身の体験をお伝えします。私は53歳で保育士試験に合格し、未経験ながらも内定をいただくことができました。今回は、学びなおしから内定に至るまでのプロセスを、転職体験談としてまとめます。
孫の誕生がキャリアを見直すきっかけに
保育士資格を目指した理由は、とても個人的なものでした。孫が生まれたとき、ふと自分の子育てをしていた頃の記憶がよみがえったのです。
「子どもって、こんなに楽しくてかわいかったんだ」
その感覚が心に強く残り、胸が温かくなりました。
一方で、50代に入ってからのキャリアについては不安もありました。現在の仕事に不満はないものの、14年間同じ会社に勤め、管理職として採用を担当してきた自分に「このまま定年まで同じ仕事を続けるだけでいいのか」「もっとやりがいを感じられる仕事に挑戦したい」と思う気持ちが芽生えていました。
孫との時間とキャリアへの迷い。この二つが結びつき、「保育士として新しい道を歩んでみたい」という気持ちが生まれたのです。
未経験からでも挑戦できる保育士資格
保育士になるには国家資格が必要です。保育士試験は年齢制限がなく、未経験でも挑戦できます。この事実を知ったとき、「50代でも挑戦できるなら、やってみよう」と強く思いました。
もちろん、試験勉強は簡単ではありませんでした。集中力や記憶力の衰えを実感し、「もう無理かもしれない」と感じる日もありました。それでも続けられたのは、明確な目標と「孫に胸を張れる自分でありたい」という気持ちがあったからです。
保育士試験の勉強法と工夫
私が実際に取り組んだ勉強法はシンプルでした。
- 保育士試験のYouTube動画を繰り返し視聴
文字だけのテキストよりも、解説付き動画を何度も見ることで理解が深まりました。耳からの学習は、通勤時間や家事の合間でも取り組みやすく、効率的でした。 - 過去問を徹底的に繰り返す
問題を解くたびに「また同じテーマが出ている」と気づき、出題傾向が体に染み込みました。繰り返し解くことで「これは必ず覚えておくべき知識」と自然に整理できるようになりました。
一応テキストも購入しましたが、実際にはほとんど使わず、動画と過去問がメイン。これをひたすら繰り返しました。
1回目の試験は残念ながら不合格。しかし、手ごたえをつかんだことで学習方法を確立でき、2回目で無事に合格できました。50代でも「やればできる」という自信を得られたのは、この経験があったからだと思います。
求人票だけではわからない「リアル」を知りたくて
資格に合格した後、次のステップは「どこで働くか」でした。私は採用の仕事をしているので、保育業界が人手不足であることはある程度知っていました。求人サイトを見ても「未経験歓迎」「50代歓迎」と書かれた募集が多く、数字の上ではチャンスがありそうに思えました。
しかし、実際に本当に歓迎されるのかどうかは、求人票だけではわかりません。「現場のリアルを知りたい」と思い、人材紹介に登録しました。
人材紹介で見えた現実とメリット
登録後は、営業担当から頻繁に電話がかかってくるようになりました。とにかく熱心で、次々と求人を紹介してくれます。ただ、私の自宅は首都圏といってもやや郊外で、求人自体が少なく、さらに給与水準も正直かなり低めでした。
「やっぱり50代未経験では厳しいのか」
「求人票に“未経験歓迎”と書いてあっても、そう簡単にはいかないのかもしれない」
そう感じて落ち込む瞬間もありました。
しかし、人材紹介を通じて得られるメリットも多くありました。
- 自分の強みを園にアピールしてくれる:私は採用業務を14年続け、管理職経験もありました。その点を担当者が園に伝えてくれたのは心強かったです。
- 実際の園を知っているからこそ紹介できる:担当者は園の雰囲気や働き方を把握しており、私の希望に近いところを提案してくれました。
- 園見学の機会がある:求人票だけではわからない雰囲気を実際に見られるのは大きな安心材料になりました。
求人票だけでは得られない生の情報や、ミスマッチを減らすサポート。人材紹介を利用したからこそ、次の転機につながったのだと思います。
「採用経験を買いたい」と声をかけてくれた園
そんな中、ある園から「あなたの採用の経験を買いたい」という声をかけていただきました。私は現職で長年採用業務を担当し、管理職として人材育成やチーム運営にも携わってきました。その継続力とビジネススキルを高く評価していただけたのです。
面接では、「採用担当として来てほしい」というオファーもありました。しかし私は、「保育士として現場でキャリアを積みたい」という気持ちを正直に伝えました。
結果的に園は、資格取得の努力や意欲だけでなく、14年同じ会社で働き続けた継続力、管理職として培った人材マネジメント経験を総合的に評価し、保育士としての内定を出してくれたのです。
53歳・未経験で内定を得られた理由
今回の経験を振り返ると、内定につながった理由は大きく4つに整理できると思います。
- 資格を持っていること
→ 「やりたい」と言うだけでなく、国家資格を持っている事実が信頼につながった。 - 社会経験の強みを活かせること
→ 採用や管理職の経験は、保護者対応や園内の人間関係の調整に役立つと評価された。 - 継続力と働く意欲を示せたこと
→ 14年同じ会社で働いた実績は、「この人なら長く続けてくれる」という安心材料になった。 - 準備している姿勢を見せられたこと
→ 保育士は体力勝負。日々の健康管理や体力維持への取り組みを伝えたこと。志望園の理念や方針を調べ、なぜこの園を選んだのかを具体的に語れたこと。そして、給与が半分になっても生活をどう成り立たせるのか具体的に話せたこと。
内定はゴールではなく「新しい選択肢」
実は私は今も現職を続けており、保育士としてのキャリアはまだスタートしていません。それでも、53歳未経験で内定をいただけたという事実は、大きな自信と安心感を与えてくれました。
資格取得はゴールではなく、**「新しいキャリアの切符」**です。選択肢を持つことで心に余裕が生まれ、「いつでも別の道に進める」という気持ちが支えになっています。
まとめ|50代からの転職は「資格+経験+準備+姿勢」で突破できる
私の体験から学んだことは次の通りです。
- 求人票にある「未経験歓迎」「50代歓迎」は、本当にチャンスがある。ただし条件は地域や園によって大きく違う。
- 資格があるだけでなく、これまでの社会経験や継続力は大きな強みになる。
- 面接では「これからどう働きたいか」を正直に伝えることが大切。
- さらに、未経験で挑むからこそ「準備している姿勢」を示すことが重要。
具体的には、
- 保育士は体力勝負。日々の運動や健康管理で「働き続ける準備」をしていること。
- 志望園の理念や方針を調べ、自分の考え方と重ね合わせた志望動機を用意しておくこと。
- 給与が下がっても生活をどう維持するかを現実的に説明できること。
これらを準備したうえで臨めば、50代未経験でも「安心して任せられる人材」として採用される可能性は十分にあります。
50代の転職は決して簡単ではありません。しかし、資格・経験・準備・姿勢が揃えば、未経験からでも内定は現実的です。
孫の誕生をきっかけに始まった私の学びなおしと転職挑戦が、同じように悩む方の背中を押せれば嬉しいです。
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