はじめに|専門家ではなくても書ける“リアル家計”
私はお金の専門家でも、ファイナンシャルプランナーでもありません。
けれど、40代半ばから「お金」と「暮らし」の関係をこれほど真剣に考えるようになるとは思ってもいませんでした。
いわゆる“老後2000万円問題”が話題になり始めた頃、私は49歳。
将来の生活に漠然とした不安を感じながらも、「いま何を決め、どう動くか」で老後の安心感はまったく変わる――そう実感しています。
このシリーズでは、そんな私たち夫婦のリアル家計をテーマに、
「どう生きていくか」を少しずつ記録していこうと思います。
我が家のプロフィール
- 夫:66歳(年金生活中)
- 私:53歳(会社員・住宅ローン返済中)
- 年の差:13歳
- 家族構成:2人暮らし(お互い再婚で子どもは独立)
- 住宅:新宿から約1時間の郊外・中古マンション(80㎡台)
- ローン:3,330万円(変動金利0.57%、30年ローン)
夫はすでに年金生活に入り、私はフルタイムで働きながら住宅ローンを返済中。
年の差夫婦ならではの「お金のタイミングのズレ」や「価値観の違い」があるのも現実です。
49歳で家を買う決意をした日
きっかけは、ほんの些細なことでした。
当時住んでいたアパートの更新日が1年後に迫っていたのです。
その頃、夫が頻繁に「上の階の足音がうるさい」「夜眠れない」と愚痴をこぼすようになりました。
築年数はそこまで古くないものの、都会のアパートは壁も床も薄く、隣人のテレビの音まで聞こえる。
私も確かにストレスを感じていました。
「引っ越したい」という夫の気持ちはよく分かりました。
でも、そのとき私の頭をよぎったのは、ニュースで見た「高齢者は賃貸契約を断られることがある」という現実です。
“60代・70代で家を借りられないかもしれない”――。
住宅ローンを組める年齢を考えると、早めに買った方がいいのではないか。
そう考えた瞬間、「50歳になる前に家を買おう」という決意が生まれました。
家探しの現実|東京近郊は“高い・狭い・古い”
とはいえ、簡単に決められる話ではありません。
最初は通勤を考え、東京や神奈川県川崎市で探しました。
しかし現実は厳しく、
- 狭いのに高い
- 築年数が古い
- 日当たりが悪い
- 間取りが使いづらい
という物件ばかり。
「この価格でこの広さ?」と目を疑うようなマンションも多く、気持ちが萎える日々が続きました。
少し郊外に出て見つけた“等身大の町”
一駅一駅、少しずつ後ろに下がりながら探していくうちに、
最終的に新宿から電車で約1時間ほど郊外の町にたどり着きました。
そこには、これまでの価値観をひっくり返すような選択肢がありました。
- 70〜80㎡以上の広さで、3,000万円台の物件がごろごろ
- 駅から少し離れれば2,000万円台の中古マンションも!
- スーパー、ドラッグストア、銀行、ショッピングビルが駅前に集まり、生活が完結
なにより、のんびりとした雰囲気なのに、駅周辺が栄えていて若い人も多く賑わいのある町。少し離れると自然豊かで温泉もある。
“老後に向けて暮らす町”として、直感的に「ここがいい」と思いました。
夫も、現役時代は街づくりに携わる仕事をしていたため、「街のつくりが良い」と気に入った様子。
「高速道路のインターが近い」「車があれば便利」という点も、夫の中では大きなポイントでした。
老後は都心に出る機会も減ります。
落ち着いた環境で、のんびりと、でも人の気配を感じられるこの町に、自然と気持ちが傾いていきました。
夫の一言:「お前が組め」!?
問題は、住宅ローンをどう組むか。
夫は前の結婚でペアローンを組んでマンションを購入しており、
離婚の際に名義変更や売却で非常に苦労したそうです。
その経験から、「もう二度とローンは組みたくない」と強い拒否反応。
「お前が組め」と、はっきり言われました。
最初は驚きましたが、冷静に考えると納得できました。
お互い再婚同士で、それぞれに子どもがいる。
将来的に相続問題が起きる可能性もあります。
それなら、自分の名義で買った方がスッキリする。
そう思い直しました。
現実の壁|女性はローンが通りにくい
しかし、現実は甘くありませんでした。
2つの銀行に申し込んだものの、どちらも同じ回答。
「奥さんがローン契約者というのは基本的に難しいです。女性単独では厳しいですね。」
正直、ショックでした。
正社員で十年以上勤務し、年収も安定しているのに――。
最終的に、某都市銀行が「ご主人を連帯保証人にするならOK」と承認。
ようやく、融資の見通しが立ちました。
契約の日、震える手で押したハンコ
当初の販売価格は3,500万円。
不動産会社との交渉で3,330万円まで値下げしてもらいました。
それでも、当時の私の貯金はわずか500万円ほど。
「本当に返せるのか?」という不安が頭をよぎりました。
それでも夫婦で何度も話し合い、
「いま決断しなければ、もうチャンスは来ないかもしれない」
という結論に至り、契約書にハンコを押しました。
正直、その瞬間は手が震えました。
「これから30年、3,000万円以上の借金を背負うのか……」
という現実をようやく実感したのです。
全額ローンにした理由
頭金ゼロ。全額ローン。
「危ない」と言われてもおかしくない選択でした。
でも、当時の変動金利は0.57%。
超低金利の恩恵を受け、「今のうちに借りた方が得」と判断しました。
それに、私たち夫婦は株式や投資信託も少しずつ続けていて、
「ローンを早く返すより、運用で増やす方が合理的」と考えました。
リフォームには貯金を充て、返済は月々約10万655円。
“払えない額ではないけれど、油断もできない”――そんな絶妙なラインでした。
住んで5年、思うこと
あれから5年。
今振り返っても、「買ってよかった」と心から思います。
- 夜は静かで、夫の睡眠の質も改善
- スーパー・病院・図書館が徒歩圏内
- 駅近くに商店街もあり、生活が完結
- ご近所との距離もほどよく、居心地がいい
- 孫や子どもたちも遊びに来やすい広さ
そして何より、「自分たちの家がある」という精神的な安心感。
これは想像以上に大きかったです。
ただし、現実的な課題もあります。
私の完済年齢は79歳。
ローン完済まではあと26年。
60代半ばを迎える頃には、返済と老後生活が重なります。
「もし私が病気をしたら?」「もし夫に介護が必要になったら?」
そんな“もしも”が頭をよぎることもあります。
それでも、「この町で、この家に住めてよかった」と思える今を大切にしています。
そして、老後は運用益を活かして返済を補っていく予定です。
50代で家を買うということ
世間では「50代で家を買うなんて遅い」と言われることがあります。
でも私は、遅いとは思いません。
むしろ、人生の半分を経験したからこそ、
“自分たちに合う暮らし方”を見極めて選べたと思っています。
若いころなら、もっと都心・広さ・利便性を重視していたでしょう。
でも今は、静かで穏やか、背伸びしない暮らしがいちばんの幸せです。
まとめ|“安心”よりも“納得”できる暮らしを選ぶ
49歳で家を買ったのは、不安から始まった決断でした。
けれど、その不安を「行動」に変えたことで、暮らしが安定し、心の余裕が生まれました。
ローンの返済はまだ続きます。
けれど、“安心より納得の選択”をしたことには、後悔がありません。
この連載では、次回以降、我が家の生活費・貯蓄・運用のバランス、
そして夫婦で共有している小さな楽しみなども紹介していきます!
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